皆さんこんにちは、懲りないトモです。
今年の春G1シーズンも中盤を迎えました。
大阪杯・桜花賞・皐月賞と続けて無敗馬が制し
盛り上がりを見せているので
天皇賞・春も楽しみなのですが、
こちらは打って変わって本命不在の混戦模様…。
登録の段階でG1制覇の実績があるのが
マカヒキ(2016/東京優駿)
ワールドプレミア(2019/菊花賞)
の2頭で、直近1年間のG1馬は不在。
長距離界の新星や苦労人(苦労馬?)が
脚光を浴びる結果になっても不思議はありません。
というわけで、今回は過去の天皇賞・春の勝ち馬から
度重なる苦労の末にG1を制した遅咲きのサクラ
サクラローレル
をご紹介していきたいと思います。
幾度も怪我に見舞われながら
這い上がってきた不屈の精神を持つ本馬を
是非知っていただきたいと思います!
血統
netkeiba.com
父はブラッシンググルーム系のレインボウクエスト
母はリュティエ系のローラローラ
ナスルーラの4×5のクロスを持つ。
共に欧州をルーツに持っていて
日本国内においては非常に貴重な血統。
本馬はイギリスで受胎された状態の母馬から
日本へ輸送後に誕生した持ち込み馬となる。
父は1985年に凱旋門賞を制した名馬で、
産駒からも凱旋門賞馬(ソーマレズ)を輩出するなど
種牡馬としても成功している。
競走生活初期・開花しないサクラ
日本競馬では稀有な血統と
デビュー前から見せていた非凡な素質。
大きな期待が懸けられていたローレルだが
それとは裏腹に慢性的な脚部不安を抱えていた。
『サクラ』を馬名に冠するサクラ軍団の主戦厩舎である
美浦・境勝太郎厩舎に入厩するも
名伯楽をしても脚部のケアに手を焼き、
なかなか結果の出ない日々を過ごす。
本来は馬体の成長を待ってじっくり育てていく予定であったが
同期に無視できない強烈な光を放つ存在がいた。
シャドーロールの怪物・ナリタブライアンだ。
この世代の絶対的主役に挑みたい…
この気持ちに抗えず、クラシック路線に参戦するも
懸念材料であった脚部不安が露呈する。
負担を考慮し、時にはダートレースに出走するなど
細心の注意を払ってはきたものの、
ダービーの優先出走権獲得後に
球節炎を発症し回避。
菊花賞はトライアルを含め3戦したが
勝つことが出来ず断念。
年間13走という過酷なローテーションに挑みながら
目標としたナリタブライアンとの対決は叶わなかった。
明け5歳(現4歳)シーズンに入り初重賞制覇を飾るなど
いよいよ素質開花し一線級の舞台へ駆け上がるかに思われたが、
自身初のG1レースとなる天皇賞・春の出走に向けた調教中に
『両前脚第三中手骨骨折』という大怪我を負い
競走能力喪失に等しいと診断される。
即引退の判断を下してもおかしくない状態ながら
ローレルの能力の高さや血統的魅力を諦めきれない陣営は
現役続行を目指し長期の治療を続けた。
競走生活中期・サクラ、満開の時
大怪我からターフへと帰ってきたローレルだが
レース間隔は実に1年1ヶ月となっていた。
その間に主戦騎手の小島太は引退しており
新たな鞍上には横山典弘を迎えた。
長期休養、それも現役生活が危ぶまれる程の大怪我からの復帰とあって
当然低評価を受けていたが、
その中山記念で前年の皐月賞馬・ジェニュインを差し切り一掃。
出走の叶わなかった因縁の天皇賞・春へと駒を進める。
この年の天皇賞・春は圧倒的2強ムード。
阪神大賞典で伝説のマッチレースを繰り広げた
ナリタブライアンとマヤノトップガンの2頭。
大きな支持を集めた2頭から離れた3番人気となったローレルだが、
調教過程に不安があり、折り合いを欠いて早めに後退したトップガンも
先に抜け出したブライアンをも一気に交わし先頭でゴールへ。
大怪我を乗り越え6歳にしてG1に初挑戦した不屈の桜が
大輪の花を咲かせたのであった。
その後は不安を抱える脚元の状態を考慮し
十分なレース間隔を取ってのローテーションにシフト。
秋初戦のオールカマーを快勝したローレルは
天皇賞春秋制覇を目指して天皇賞・秋に出走。
ところが鞍上の横山典弘がペースを読み違えての後方待機、
直線では混雑する側へ進路を取り
馬群に囲まれ脚を余しての3着敗戦。
横山自身も「最高に下手に乗った」と自戒し、
境調教師からも「あれなら俺が乗ったほうがマシ」と
叱責を食らう騎乗ミスだった。
そんな致命的な騎乗ミスを犯した横山だが
有馬記念では引き続き手綱を任される。
まさに背水の陣…次の失敗は許されない状況だったが、
前走で後塵を拝したマーベラスサンデー以下を引き離し優勝。
見事名誉挽回を果たすと共に
この年の年度代表馬に輝いた。
競走生活後期・不屈のサクラもついに…
管理していた境勝太郎調教師の定年に伴い
かつての主戦騎手だった小島太調教師の厩舎へ移ったローレル。
日本で現役最強の座に座り、重厚な欧州の血を持つ事から
海外遠征のプランが持ち上がる。
連覇を狙った天皇賞・春では当時の世界レコードを記録する豪脚を繰り出した
マヤノトップガンに遅れを取るも負けて強しの2着。
日本競馬の悲願、自身の父・レインボウクエストも勝利した
凱旋門賞挑戦に向けて海を渡るも、
立ち塞がるのはまたしても怪我。
前哨戦のフォア賞で右脚屈腱不全断裂を発症し競走中止。
現地スタッフに薬殺(安楽死)の処置を取られそうになるも
帯同スタッフが制止したことで一命を取り止めた。
現役生活は最後も怪我に泣かされたのだった。
引退後
現役を引退し種牡馬入りしたローレルは
初年度からローマンエンパイアなど重賞勝ち馬を輩出するも
代表産駒はサクラセンチュリーを始めG1勝には届かず。
余生を過ごしていた新和牧場で2020年1月24日に永眠。
その生涯に幕を下ろした。
というわけで、天皇賞・春も間近ということで
サクラローレルをご紹介しました。
関係者やファンが夢を乗せたくなる存在感。
幾度も降りかかる困難に立ち向かう
不撓不屈の精神力。
私も心奪われたこの馬の魅力が
少しでも伝わっていれば嬉しいです。
では今回はこの辺りで失礼致します。
お読みいただいてありがとうございました!
それではまた次回お会いしましょう。